ウロボロス
ゴースト(無月野青馬)
「ほら、見てごらん」
「あれが、寂しさだよ」
そういう触れ込みで示されたのは
明らかに放置され、錆びた自転車
「ほら、どうだい」
「この見窄らしさ」
「これが、前世紀の象徴だよ」
そういう触れ込みで示されたのは
明らかに飽きられた遊園地
錆付いたメリーゴーラウンド
静止したままの観覧車
幻影だけが遊んでいる
「違うよ」
「僕が見たいのはこんな物じゃないよ」
「僕が見たいのはウロボロスだって言ったじゃないか」
少年の懇願
聞き入れられたのか
次を見せる前の顔は自信満々だった
「ほら、どうだい」
「これで満足かい」
「見てごらん」
「これこそがウロボロス」
そういう触れ込みで示されたのは
明らかに自室