光の粒子が紡ぐ光
百瀬朝子

夢は過去に溶かされた。
空気中に漂う粒子がやわらかい光を放つ。
それはきっとあたたかい。

立ち止まっているのは動けないだけ。
迎え撃つのは簡単だがこの手で仕掛けることはできない。
腹痛が意思の邪魔をする。
不安は不安を呼び翳りは我が身を引き寄せる。
だって今のあたしはもう強くない。

喜びや悲しみはやってくる。
てくてく歩いてやってくる。
ある日ある時あたしは出会う。
そして別れる。
けれども生きている限り幾度も出会う。
今日もほらてくてく足音が聞こえてくる。

ひとりはこわい。
いたいのこわい。
さむいのこわい。
こわいのこわい。
こわいこわいこわい。
でも泣いてばかりもいられない。
嘆いてばかりもいられない。
あたしのするべきことをこなそう。
そう足元に転がっているひとつひとつ。
ひとつひとつこつこつ。

空気中に漂う粒子がやわらかい光を放つ。
それはあたたかい。
どこまでも射しこむ希望の光を紡ぎだす。


自由詩 光の粒子が紡ぐ光 Copyright 百瀬朝子 2009-08-25 18:24:05
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