光の粒子が紡ぐ光
百瀬朝子
夢は過去に溶かされた。
空気中に漂う粒子がやわらかい光を放つ。
それはきっとあたたかい。
立ち止まっているのは動けないだけ。
迎え撃つのは簡単だがこの手で仕掛けることはできない。
腹痛が意思の邪魔をする。
不安は不安を呼び翳りは我が身を引き寄せる。
だって今のあたしはもう強くない。
喜びや悲しみはやってくる。
てくてく歩いてやってくる。
ある日ある時あたしは出会う。
そして別れる。
けれども生きている限り幾度も出会う。
今日もほらてくてく足音が聞こえてくる。
ひとりはこわい。
いたいのこわい。
さむいのこわい。
こわいのこわい。
こわいこわいこわい。
でも泣いてばかりもいられない。
嘆いてばかりもいられない。
あたしのするべきことをこなそう。
そう足元に転がっているひとつひとつ。
ひとつひとつこつこつ。
空気中に漂う粒子がやわらかい光を放つ。
それはあたたかい。
どこまでも射しこむ希望の光を紡ぎだす。