夜の着陸
照留 セレン

暗い雲の海を抜けると
街の灯りは空に溶ける闇を挟んで地平線まで続いていた
塵にすら見えない人々が
眠っているのか 起きているのか

機体が揺れると町が近づいてくる
星雲のようだった光たちが
自分の形を現しはじめる
これは列車
これは道路
塵にすら見えない人々がそこに詰まって流れている
気分が悪くなったのは乗り物酔いのせい だろうか

着陸態勢に入ります
相変わらず地平線に続く光は
自分の姿をはっきり示した
故郷へ続く山上を遊園地が縁取っている
人々はやっと
シルバニアファミリーサイズ

飛行機は速さを増して揺れる
地面と摩擦しゆっくり止まる
自分とほとんど同じ大きさの人々は
荷物をひいて何処かへ行ってしまった


自由詩 夜の着陸 Copyright 照留 セレン 2009-08-25 08:02:20
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