夜の着陸
照留 セレン
暗い雲の海を抜けると
街の灯りは空に溶ける闇を挟んで地平線まで続いていた
塵にすら見えない人々が
眠っているのか 起きているのか
機体が揺れると町が近づいてくる
星雲のようだった光たちが
自分の形を現しはじめる
これは列車
これは道路
塵にすら見えない人々がそこに詰まって流れている
気分が悪くなったのは乗り物酔いのせい だろうか
着陸態勢に入ります
相変わらず地平線に続く光は
自分の姿をはっきり示した
故郷へ続く山上を遊園地が縁取っている
人々はやっと
シルバニアファミリーサイズ
飛行機は速さを増して揺れる
地面と摩擦しゆっくり止まる
自分とほとんど同じ大きさの人々は
荷物をひいて何処かへ行ってしまった