盆送り
プル式
橋の袂から川に沿って伸びる灯り
向こうは賑やかだね、と言う
川は此方から彼方へ
花火の焼けた火薬の匂い
炎に揺れる小な提灯あかり
再び鳴き始めた虫
るりり、るりり、るりり、
ばあちゃんが手をあわせる
川向こうでシュッと花火があがる
提灯を堤防に刺したままゴミを片付ける
川沿いに並ぶ提灯あかりは
山から田の中へ消えて行く
離れる川の所々から花火の灯りと
楽しそうに話す声が聞こえる
灯りの無い夜の提灯灯りは目を焼く
残像に残ったのは何の記憶だろうか
花火の焼いたものは何だったろうか
心に赤く白い残像を残すものは何だったろうか
砂利道に月は無い
じゃ、じゃ、という足音から遠く
るりり、と虫が鳴いた。