神隠し
ゴースト(無月野青馬)
「こんばんは。ご機嫌いかがですか?」
暗がりから現れる“青いふとっちょ”
眠れない夜半
どこからともなく
やって来ては
僕の悩みを聞いてくれるんだ
心強いんだ
「今日はどんな嫌なことがありましたか?」
顔のような部位を近付けて来る
僕は、今日あった辛かったことを細かく伝える
それから
眠れないから眠りたいんだと伝える
そうすると“ふとっちょ”は
僕におまじないをかけてくれるんだ
「アブラカタブラ、ブラブラ」
“青いふとっちょ”は手らしき部位を
眠れない僕のおでこに乗せて
僕の名前を呟くんだ
「一緒に行きましょう、ブラブラ」
僕は、謎の気持ち良さに包まれて、大喜び
この時にきっと
<得体の知れなさ>に襲われる快感を知ってしまったんだ
「何時までも眠りましょう」
青い声が響き渡って
「ワタクシを永遠に楽しませて下さい」
確かそんなようなことを囁いていた青い声
“青いふとっちょ”は
この頃の僕のヒーローだったんだ
絶対的に、盲目的に
僕は、惹かれていたんだ
僕は、世界でただ一人
“青いふとっちょ”だけを信じていたんだ