夕立の予感
テシノ
夕立の予感をたずさえて
疾走する道
夏は
風が南から来る
雲は見る間にあなたを追い越していく
あなたは風を背にして立ち尽くす
雨が降り出す
あなたは一人だ
さすべき傘など持たず
手の平をただかざす
くわえた煙草にさえ降りる雨
しけた味に小さくむせて
ようやくあなたは歩き出す
あなたが後ろに残す煙を
次第に強くなりゆく雨が
容赦なく貫いていく
歩き出したあなたの日常を
私は見届ける事ができない
雨に打ち落とされる煙を
ただ見守るだけ
自由詩
夕立の予感
Copyright
テシノ
2009-08-22 21:38:35