のりピー、一緒に逃げよう
佐野権太

うすく流れる明け空に
寝返りをひとつ

隕石とか堕ちてこないだろうか
僕は僕の人生を
いいかげん
供養してあげたい

逃れようのない角度で
刺し込む朝は
強制ですか
それとも、任意ですか

*

中天にかげろう日輪が
匍匐する首筋を照射する
僕たちは
向日葵の蕾のふりをして
黄緑の顔をうなだれる

だうだうと腿をつたう
水脈を聴いている
罪人は
どこまでも罪人のままで

随分前から
裏側は崩れていたのだ

*

遠い津波の
しずかに辿り着く午後は
裸足の指を砂に埋めて
互いの微弱な心音を
探している

震源地はどこですか
本当は
どこだって構わない

*

無為に過ごした
夏の日の夕暮れに
生まれたままの
眉を染めている

マンモスなんて
初めから
どこにもいなかった

君があんまり正直に
告白するものだから
僕も黄色い涙を流している







自由詩 のりピー、一緒に逃げよう Copyright 佐野権太 2009-08-21 22:37:04
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