桃源郷
西天 龍

「もう、ここでお帰り」
路傍の花たちが押しとどめる
この道の遥か彼方、山懐に
確かに桃源郷はあるのだけれど
そこに赴いて何をするの?

昨日と同じ今日
今日と同じ明日
そんな安穏に包まれて
あなたはどんな夢が見たいの?

まだ少しだけ早いと思う
ここから先に足を踏み入れるのは
しっかりと振り向いて今来た道を帰りなさい
花たちが言い聞かせるように背中を押す


自由詩 桃源郷 Copyright 西天 龍 2009-08-21 07:09:48
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