てっぽうゆり
るるりら



   てっぽうゆり



武器の名を持つ 白い精神には
滑走路はありますか

新月の日の始めの朝には
草原を はだしで歩いてごらんなさいな
一足ごとに 露がはじけることでしょう
露には てっぽうゆりの奏でた音楽が封じ込めてあるからね


てっぽうゆりは まっすぐに
てっぽうゆりは まっしろに
じぶんの大切な 歌を隠して 
夏の朝 てっぽうゆりは ただ まっすぐに その気持ちを おしひらく

わたしは てっぽうゆりみたいな歌が歌いたい
こんど自己紹介するとしたら こう言ってやろう
「清いという罪のため
てっぽうゆりと呼ばれてます」



魔物が飛んできて わたしに本当の
矢を射るかしらね
鬼がとんできて 鬼の糞をよこすかしらね

それでも
てっぽうゆりに
耳をすませば澄ますほど
澄んでゆく

素足の人になりましょう
だれよりもちいさな こころで
ほんとうの雫を
さがしましょう
さがしましょう
そうしましょう
そうしましょう

ある朝
せかいの武器が
すべて
乳清色の花弁に
なる


そうしましょう
そうしましょう





携帯写真+詩 てっぽうゆり Copyright るるりら 2009-08-20 17:04:02
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