通夜
……とある蛙

喪服を着たおばさん四人
交差点を渡り、口々に話す。

一人は楽しげに
久しぶりねぇ
などと通夜であることを忘れ

一人は怒ったような顔をして
どうしてなんでしょうねぇ
などと宣う

一人は困ったような顔をして
なにも語らずに
下を向き俯いたまま黙っている

一人は寂しげに

語ろうとしたが、
ふっと溜息をつく

そのまま四人は何もなかったような
日常に戻る

ヒト一人死んだ。



自由詩 通夜 Copyright ……とある蛙 2009-08-20 09:29:55
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