四行詩四態 <1>
nonya
「移」
知らぬ間に忍び込んだ次の季節を
昨日より微かに老いた眼差しでやり過ごす
移ろっていく速度のやるせない違いに
胸の奥をさざめかせながら運ばれていく
「揺」
枝葉が揺れて風を知る
水面が揺れて雨を知る
人は揺れながら情を受け取り
揺さぶられて弱さを思い知る
「傾」
僕のことをとても傾いていると言っていた君は
僕と反対側にかなり傾いていた
日々の上に真っ直ぐ立てないのなら
いっそのこと君と同じ方向に傾きたかった
「帰」
本当に帰る場所がありますか?
そこは途中下車じゃないですか?
本当に明日を待てる場所がありますか?
そこは騙し絵の水路じゃないですか?