パープル原野
熊野とろろ
どうにもいかないときがあって
パープル原野に辿り着いたってわけ
記憶はない
そういったほうがなにかと都合がいいし
なんたって享楽的
とはいっても昨夜
おれははじめて死を思った
出たとこ勝負の旅の洗礼を受けたのだ
360度、まったくの暗闇
「大自然を畏敬せよ」
だれかの言葉がぐさぐさ心臓に刺さった
昨夜の失敗を繰り返さぬよう
日が明けてからはひたすら自転車を走らせたよ
よく訊く青春っぽくってね
味気ないロードムービーよりも爽快でね
勢い余って柄でもなくサングラスなんか買っちゃって
気が付いたら3府県横断していた
ろくに眠れず、かなりの躁状態
瞳孔が開きギラギラしていた
ほとんど荷物を持たないで旅に出たけど
デジカメだけは持ってきたから
夕暮れの農村風景を撮ってみると
写真全体が紫がかっていた
その写真をパープル原野を名づけた
ダサいネーミング
昂ぶった感情で
僕は君に会いに来たんだよう!
と叫んだ