いつか子宮に還る日に
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海月が波に流されて浜辺へ打ち寄せられた
今年も何かが終わってゆく
めぐりめぐる喪失の流れ

ぶよぶよとした透明な塊は
逢瀬と誕生の名残り

てのひらに白い貝殻をのせ
息吹の痕跡を確かめる

どこかでまた産声があがる

生まれた

輝ける太陽のもとで
億年の灼熱と
万年の氷河に耐え

遺伝子は震え

出会った

差し伸ばされた手をはなすものかと
華奢で細い指と無骨で太い指とを
絡めあう

ぶよぶよとした塊をすくいあげる子らの笑顔

また明日に絶望が鎌首をもたげても
繋がっていられれば、それで重畳
頬を伝う涙も 乾いた唇も
確かな温もりを孕んでいる

無言の海月に自らを映して


自由詩 いつか子宮に還る日に Copyright within 2009-08-17 15:41:04
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