時間という海
吉岡ペペロ
戦争について考えることは
それは有益なことなのだろうか
平和についても
それは有益なことなのだろうか
幸福について考えることこそ
有益なことなのではないだろうか
戦争や平和は
幸福に対するアンテナを麻痺させる
戦争は極端すぎるし
平和はピンぼけしすぎているから
他者から相談をもちかけられても
幸不幸について
いわゆる<いいこと>は言うまい
そう決めている
ただ聞いて
そうかあ、そうかあ、を繰り返している
幸不幸を決めるのは他者だから
他者は
私がしんでも存在しつづける
その逆もある
たがいにべつべつの場所で
存在しつづけているのかも知れない
その逆もある
他者は私であり他者であるから
戦争や平和について考えることは
はたして有益なことなのだろうか
幸福について考えることこそすれ
他者の幸不幸については語らない
それは
世界になにをもたらすのだろうか
波のように遠ざかり近づいてくるこころたち
こころたちは時間という海を
いったいかれらはどこにゆくのだろうか