げんそうはげんそんか。
志賀羽音
げんそうを知りたかった。
えいえんが分からないから。
げんそうをどういうものか僕はみてみたかった。
えいえんがなかったから。
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ほしとほしが干からびて補えなくなった時、ほしは日の下に生まれることはなく崩れ落ちた。月は抜け殻のように白くなって、雲は老けたように白くなって、青色だけが空に存在した。
「香箱を作る白い猫の目だけは、空の色をうつしているよ。
地球のようなその目は、いったい世界の何をうつしているんだろうね。」
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少年は白い少女を抱きかかえている。少年と少女の背中に羽根はなかった。そもそも少年や少女に羽根があると誰が言った? 羽根は白い空から降るものだ。
「しかし、あなたには空から降る羽根は、
みえやしない。」
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青空から青い鳥が落ちてきた。(青空は青い鳥に嫉妬していたのだろう。)白い月は薄く発光するだけで、黙って青空の角にいた。ほしは消えて無くなっていたので、クッキーにはアラザンがまぶされた。
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(みえない。みない。みたくない。
空は、ただの青。)
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青空の下に香箱を作る白い猫は、青い目を丸くして、世界をうつしつづけていた。