鉄道との戦い
馬野ミキ


荒野で
超特急を押さえている
手で
遠くから
神通力も使って
100両編成の不思議なあほ力の鉄道が
俺の向こうのほうに行くのを
必死に抑えている
乗客は0人だというのに
燃えたスピードで
どこにいこうというのか
じりじりと
押される
信号は
すべての色が
同時に
点滅している




無数のゴキブリや
多くの人に嫌われている虫たちが
車輪の下で
ハイスピードで死んでく
かれらは同時に
植物の放つ
酸素の墓に包まれ天上する
それはただ、植物がワンパターンであるからである
そうして我々と同じように、
植物もまた悪意を持っている。




昔俺が
日曜日に貯水池の裏で
国の保護指定の鳥を殺したことには間違いはない
けど、せんせいあのね
俺はただあの鳥を殺したかっただけなんだよ




夜になると
耳のすぐ近くで汽笛が鳴る
こういうのはすべていたずらなのだ
本物のお化けが出たとしても
そういうのはない
この観念は俺が自分の頭を通した世界に描こうとすることだ
スプーンを曲げることに意味はない
だけれどすべての超能力を俺は信じる
夜にはみんな寝てる
俺は寝てる人は全員UFOだと思う
俺は科学に期待する
超特急に押されて
足の骨がレールにすれて痛いのを
直してくれるのは医学だろう
だから俺は医学に期待する
俺は瞬間的に苦学生を応援する
関係ないけど俺は世界中の母子家庭に毎日150円配りたい
遠くに星がまたたいている
目のなかににゴキブリの足が飛び込んでくる
目をこすると宇宙が見えなくなるので
そのままでいる。



















自由詩 鉄道との戦い Copyright 馬野ミキ 2009-08-15 01:55:09
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