夏休み
ゆりあ

今日また嘘をついた

私と女の子たちはカラオケで流行りの歌をたくさん歌う

でも悲しくなったから
泣きたくなったから

一番最後に最近ギターが死んでしまったロックバンドの美しいロックンロールを歌った
この曲を作った人はなんて頭がおかしいんだろう
なんて世界は悲しくてそしてときどき美しいのだろう

気が狂いそうになった

隣に座っている女の子が怪訝そうな顔で私を見ていた

私は泣きじゃくりたかった

たくさん泣いて
あんたが悪いのよ、あんたが全部悪いのよ、あたしがどれだけ我慢してるか知らないでしょう、あんたたちなんか昔からだいっきらいなのよ
って言って傷つけたかったけど
私はもちろん泣かなかったし
女の子は下を向いて携帯電話を退屈そうにいじっていた

私はこれで最後にしようと思ってたけどやめて流行りの曲を歌った
終わると「やっぱ〇〇歌うまーい」
と女の子は言ってマスカラとつけまつげで黒くなった目をぱちくりさせながら言ってくれた

本当は私のあんな歌でも誉めてくれる女の子たちが大好き

多分これでいいんだ、と思った

さっきの曲は
去年生意気で瞳の色素の薄い男の子に教えてもらった曲
彼の影響で大好きになった
私は彼の細くて長い指がすきだった
よくその指で攻めてもらった
今頃彼はどこで何してるんだろ

薄暗くて狭い部屋の中には香水の甘い匂いでいっぱいで吐き気がした


自由詩 夏休み Copyright ゆりあ 2009-08-13 00:29:43
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