軸のうえでは/右矢印
佐藤真夏

わたし
蝉の脱け殻を着て雨を凌ぐ
小さな鳥になって、
探す
虫入り琥珀のえいえん。

跳ね上がった水の群れ
地面に海面に雨粒
幾万幾億個もっと、もっとだったから
よろよろと力なく流れてゆくところ
それは蟻が行列になって運んでいくところ
蝉の、
動かないやつが夏をだめにした。

温まった人の群れ
雨は
人と人との間に落ちてくる、降り注ぎ
夏祭りは中断されましたわたしの夏休みは中断されました
どうにも切なくて
脱いだ服は干したけれど夕立は次々に衝突するのでした。

閉じ込める
水の、水の檻。その周りの空気の
檻が重いの。
雨雨雨は蝉蝉蝉
で、大騒ぎしたのちお休みの土に横たわる

わたし、もっと生きたくなって


自由詩 軸のうえでは/右矢印 Copyright 佐藤真夏 2009-08-12 15:46:33
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