残された部屋のなか
within
いつの間にか捨てられていた 僕の渡したピアス
何の予告もなく
前触れもなく
いつから途切れたのか 君の送信が
何度 受信を選択しても
新着なし と表示されるのは 君の僕への残りメモリー
何度 履歴を読み返しても
君の絶望を見つけることはできなかった
静かに運行を続ける終電車
息づかいさえ聞こえない弦月
足あとも残さず 去っていった
それが君の優しさ
送信すれば 僕の思いは届けられる
変わらないアドレス
それが君の優しさ
言葉に頼ってばかりだった
もっと近付きたかったのに
いつしかウェットからドライへ
そして蒸発した
腕に残された傷痕に
後悔ばかりが残る
この傷 一本 一本 が、君への想いだから
忘れることができない
プリントアウトされた 僕の書いた君の小説