サイクロン
ゴースト(無月野青馬)

立ち尽くす、夕暮れ
雷の鳴く頃


傷口を縫い付けた鋼鉄の糸を噛み切り
雷の鳴く頃
沈黙を破って
鴉等は己の声
針のように
摩天楼へ突き立て


墨が降ったかように黒い雨が注がれ
ネガが反転したように新宿は白くなる
果てしない濁流は
空前の勢いで
俺や君やアイツ、名も無き者まで
飲み込んで、押し流し
追憶さえも、残さない


神鳴り、後、豪雨





自由詩 サイクロン Copyright ゴースト(無月野青馬) 2009-08-11 21:26:47
notebook Home