きず
高橋魚
寝ぼけてたかな
外国語で書かれた手紙を
さっき受け取った気がしたんだけど
どこかへいってしまった
夜みたいな手紙だった、ぼくのまだ知らない夜みたいな
おかあさんが
くれたんじゃなかったっけかな
皺を隠すのに懸命で
こっちなんて見向きもせず
放り投げるように
くれたんじゃなかったっけ
砂のお城が壊れてゆく
城なんて
なかったのかな
おかあさん
夜明けの空が
少し見えた気がする
自由詩
きず
Copyright
高橋魚
2009-08-09 21:58:03