境界
ku-mi

冷たさで奥歯のキンとする痛み
あなたのひたいのしわ
氷を吹きだしそうになる
もっといろんなしわを
そばで見ることができたら
あたしはいつもこうして涙目で笑っていられるのに

傾いた陽から大粒の雨がこぼれて
トタン屋根を奏でる
氷のつめたさと肩のぬくもり
からだがズキズキする
はずれた音階に合わせながら
何か言いかけて口をつぐんだこと
あたしは気づいていたよ
雨上がりの虹がどんなに美しくても
唄に隠された願いをずっと聞いていたかった

あしあとは雨で流れて消えた
季節はそうして変わっていく
草のにおいを連れた風とともに
帰りの合図

今ここで
あたしがその肩にもたれてみたら
唄を聞かせてくれますか


自由詩 境界 Copyright ku-mi 2009-08-09 14:17:36
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