花の色
西天 龍

野の花に
名前などあるはずがないと
思うようなあなたなのに
振り向いて欲しいのは何故

ここにいる、ここにいる、と
声を限りに叫んだとき
それを感じ、立ち止まってくれたのは
「花を愛する」というあなたでは、なかった

刈り込まれた街路樹のような
生き方はできないから
ここにいるのだけれど
あなたにだけは振り向いて欲しい

私は野の花
在ることの意味を色に託して今を咲く
野の花を知らぬあなたを
振り向かせるため


自由詩 花の色 Copyright 西天 龍 2009-08-09 11:05:36
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