wrong interview
あすくれかおす
寝て起きると
いつも新しい
新しい朝が来たと
体操をしながら
希望を体にしみ込ませていた小学生
誰が今日の空を真新しいと決めるのか
夢みがちにパンを食べる
土砂降りのなかで回転してる
チル寸前の花びらを掴む
瞬きもせずに拍手を続ける
これまで参加したアンコール
の半数が労働
段差なんてとうになくても
多くを手にするにはあまりにも臆病すぎる
フライングソウサア斜めっから突き落とし
年月のことを数字で呼び続ける
町が間違える得るものはままならず
浪々と流れるひとつきりの浮き輪にまたがって
なにをみようかなにを 話がしたくってひとりきりでダダダっと
どこまでもとぎれることができずに電波をうろうろまた掴む
汗ばんだ雨の日は息をつくたびにフレッシュな煙を吸う
気分が入れ替わり肺が灰色になっていがらっぽいTVのノイズが炭酸のように喉に散らつく
朝がくるぞと自分を脅迫しながら睡眠を目指し
終わったことを繰り返す時間のことを始まりだとよぶ
どうする帰郷するか既決しないすべての甘え
綿棒をばらまいた部屋
古くなった水の入ったアイロン
どこに何を置いて何において立ち位置を決めるのか
淀んで綻んで定まって喜んでる場合じゃない
大げさに笑い続ける大きくジッパーを開ける
ティッシュがはじめから紙くずになることを悟る
歩くホリック夜通し冷蔵庫の匂いを嗅いでる
無味無臭でいられるほど無感覚に起き続けている
このままじゃ素晴らしく駄目になるって
一張羅を洗いに出してる間に焦燥する自らのなかの細胞一キログラムあたり一〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇個
そいつ等の声を聞く
その心は何者でもない振りをし続けて実は自分の匂いを消せない透明な犬だ
電柱が崩れ落ちるほど酸度の高い落ちる自分の涙に両手を差し出せるか
前に見えてるのはただの部屋の一角だ 何に対して毎晩威嚇している
綿棒散らばる瞬間的にやつらの小さな悲鳴を想像してこの笑い声を黙らせる
それでも笑ってる場合ですよ
で素の笑ってる顔で袖を引っ張る
下着の上に身につけたしがらみで明日を捨てるか今日を捨てるか
そんなふうに昨日が嘘みたいに何度でもリサイクルされてまとわりついていることに気がついているのか
山のようにないがしろにしていることがあるんだと
山が連なって山脈になってしまうんだと
谷間を流れるニュースの峠を駆け抜ける
みんなの声が 誘拐途中の車内のBGMになる
いつまでも蒸し暑くて網戸の枠を左手で掴んだまま
上半身を乗り出して砂利で舗装されたどうでもいい風景に何か言う
何を言おうと 言えば問われるかもしれないそれを言った自分自身に
部屋を振り返ってみれば 暗転してる午後の家具たち
適切な温度を感じているか皮膚を正直に働かせているか
まだまだ鈍いまんまだな
いつのまに麻酔うったんだ
つぶさに見えるはずの影にうごめく景色を単なる夜だといつからか呼ぶようになって夜が朝になると疑わなくなって昼間は何も考えず夕日にむかって感傷を浴びせる
気持ちがよかった
と日記に書く
ここにある言葉が全て光り輝いて言葉の全てが神がかっているとすれば
言葉の全てを神様が飼っているとすれば
子犬のような鳴き声で今を祈る自分は明日にはいなくなるかもしれない
銀行みたいに人を貯め込んで
残高みたいに未来を小出しにしていこうと君がいう
だけど子どもは利子でもない利息じゃない
無様に逡巡するくらいなら
札束だってもうばらまいてしまえばいい
単純な構造のロボットをならべて
われわれはもう包囲されている
触角をふれあえば分かる蟻たちとは違う
右手では涙目の瞼の曲線に触れて
ロケットパンチにうっかり左の頬を差し出す
そんなふうに複雑な他人や自分を作り出して
立体したキャンバスのような毎日を描こうとする
ドキュメンタリで普通に泣ける感覚を忘れ
ドキュメンタリより酷な現実で普通に泣いてもいい自由さを忘れ
紫だちたる なあなあの風にふらつき
細くたなびきたるフレンチのソースの重なりがとまらず
肉にナイフが突き刺さらず
ミネラルウォーターが厨房で沸騰し
気持ちがよかった
と日記に書く
われわれはもう
包囲されている