ジミヘンドリクスの幻
番田
東京のアパートの壁に
砂の黄色がかったタイル柄を
写真に撮って張り巡らす
壁の間を進めば
*
共同ホテルの看板はとうとう見つからなかったのだ
小さいだろうから
ヤシの木が顔を出していたりする
電車はニースにたどり着いて
道にトランクを転がした
僕は逃げ出したくもなってくる
モロッコに安宿を探し当てられたのは
幸いだったけれど
道案内は有料だった
旅行者にとってこの国は困難な場所である
損傷したトランクを石畳に引きずりながら
ホテルの階段を登ると
葉巻を吸いたい早く
予定もあったマルセイユでは
誰かの釣り銭もくすねようとするし
部屋にいたのはアメリカ人たちで
彼女たちのそぶりは
4年前のイギリス人を思い出させた
*
クラブでジミヘンドリクスのカントリーロックを聴いたのだ
僕は幻とハシシをやって歩く
向こう側にやっと見つけた
お城を見ながら