ジミヘンドリクスの幻
番田 


東京のアパートの壁に
砂の黄色がかったタイル柄を
写真に撮って張り巡らす
壁の間を進めば



共同ホテルの看板はとうとう見つからなかったのだ
小さいだろうから
ヤシの木が顔を出していたりする
電車はニースにたどり着いて

道にトランクを転がした
僕は逃げ出したくもなってくる
モロッコに安宿を探し当てられたのは
幸いだったけれど

道案内は有料だった
旅行者にとってこの国は困難な場所である
損傷したトランクを石畳に引きずりながら
ホテルの階段を登ると
葉巻を吸いたい早く

予定もあったマルセイユでは
誰かの釣り銭もくすねようとするし
部屋にいたのはアメリカ人たちで
彼女たちのそぶりは
4年前のイギリス人を思い出させた



クラブでジミヘンドリクスのカントリーロックを聴いたのだ
僕は幻とハシシをやって歩く
向こう側にやっと見つけた
お城を見ながら


自由詩 ジミヘンドリクスの幻 Copyright 番田  2009-08-09 02:26:31
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