マルセイユの夜
番田
空路でやってきた体は疲れ果てていた
予約していたホテルは見つからず
青い夜が頭上を覆い尽くしていた
南フランスの深夜
回りにはいくつものホテル
僕は歩かなければなかった
しかし水もなく手を貸す相棒もない
年老いてはいないけれど
45度の坂にトランクを転がして
ホテルを探して歩き回った
所持金はほとんどなく
日本に帰っても将来はなかった
貧乏旅行の目的はなかったが
余計な金を使うよりも
どこかでおいしい料理を食べたいものだ
自分を楽しませることぐらい
人生の終わりにあってもいいもの
僕は歩き続けた
石畳の道はでこぼこと
車輪の一部を損傷させた