最後の一行は 空けておくわ
瀬崎 虎彦

混淆する 人の 言葉 詩みたいなもの
不思議ね 書くことがとてもむずかしい
滴るような感情や 季節感や 絶望 夢
恋愛や 苦悩の湧出は もういらないの

自分以外の誰かが すでに 同じ言葉で感じた
その気持ちを 今更 そして あらためて 声
あたしのからだ 透明な血流 影のないものを
転写する装置 音楽機械 声 そのための詩が

欲しい 作者は誰でも そう あたしでもいい
死ぬたびに強くなって 生まれるような言葉を
あたしは あなたの声で 聴かせてほしいのよ

大上段に構え 身の程知らずと 思ったでしょうね
その苛立ちのために 最後の一行は 空けておくわ


自由詩 最後の一行は 空けておくわ Copyright 瀬崎 虎彦 2009-08-06 12:16:34
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