夏バテ
ゆるこ
リビングでうつむせに戦死をしてると
からんからんとガラスと氷が遊ぶ音がする
目線だけあげて見れば
薬味と素麺とめんつゆをお盆に乗せた母親が微笑んでくれていた
という夢をみた
実際母親はもう立てない体だし
へばりつけるような清潔な床はわが家にはない
ただただ暑さの中を蝉と共に
じりじりとじっとしているだけなのだ
いつしか嘔吐を繰り返す
群青の時間も白く白く(汚いもので)
体育見学の子供みたいに
じっと暗闇に紛れていた
それが夏バテだと知ったのは十日後の涼しくなってきた日の話で
私はなんだか罪悪感に捕われてなんとなく床に伏せた
やっぱり目線の先には誰かの裸足が入ることはなくて
静かに なんとなく 目をつむった