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エルメス

君は呟く。死にたい、と。

僕は知っている。君が僕の何倍も生きたいと思っていることを。



君は叫ぶ。学校なんか嫌いだ、と。

僕は知っている。君が僕の何倍も学校に行きたがっていることを。



君は主張する。友達なんかいないほうが良い、と。

僕は知っている。君は僕の何倍も寂しがり屋なのだということを。



君は泣く。独りを好み、閉じこもり、目を閉じ、音も立てずに泣く。

僕は君を見ている。独りが嫌いで、だけど独りかもしれない僕。




笑いたいなら、笑えば良い。

泣きたい時に、泣けば良い。

苦しいなら、逃げれば良い。

弱くても、全然、構わない。

強くなろうとしなくて良い。


全てが、許されるのだから。





わずかな回路の違い。

過去と今の違い。

君と僕の違い。

わずかな。

違い。


でも。

大丈夫だ。

同じではない。

それは当たり前。

それこそが君の望み。









気付いているかな。変わりたい、と君が心の底から願っていることに。


自由詩 1/34 Copyright エルメス 2009-08-04 22:53:25
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