食物連鎖
ジャイコ

君の首筋に
この指をなぞらせる

はやく
心臓をえぐりだして
左心室の筋肉の美しさを閉じ込めてしまいたいと思う

虚ろを見据えるその瞳は
もう二度と脳内と信号を交換することもないのだ

たぶん明日になれば
いや
もうすでに今も刻々と
この身体の腐敗は始まっていて

青白い皮膚からも
徐々に温度は消えて行こうとしている

ああ。
なんて美しいんだろう。

白いシャツの隙間から覗く白い双つのふくらみも
紺の布地の下から伸びる長い足も
すぐに切り離してあげようね

はやく君の大腿骨に触れてみたいな


空はすでに
白みはじめていて

手にした刃物の冷たさだけが
まるで世界を非難しているかのように

脂肪と血液のぬめりを
僕に生々しく伝えるのだ


自由詩 食物連鎖 Copyright ジャイコ 2009-07-31 22:06:16
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