美術館
葉leaf

入り口で友達を待つ
美術館の敷地の膨大な広がりは
僕の繊細な部分を広げ続け
空の広がりにまで接続する
空の水にはごくうっすらと
大地が映っているかのようだ

ひさしぶり
仕事はどう?
会話は僕の体重を増してゆく
僕は足元に二人分の体重を感じながら
その体重を目のひびを埋めるのに使った
入場券の値段と
入り口からの歩数とは
どこかで混ざり合ってしまう

レジェの版画
絵というものは実はとても軽くて
その分僕らから重さを吸収していくようだ
絵の向いている方角そのものに
何か意味があるように思えて
二重に描かれた絵の中で
伐採されていく意味の森林

レジェの映像作品
時間が植物のように伸びて行き
機械の花を咲かせてはまた伸びる
勝利と敗北のリズムが心地よい
前に並んだ椅子の眺めも
スクリーンに接続しながら
二次元と三次元の仲の良さを知る
僕らの日常だってキュビスムそのものだ
異なる視点がごちゃ混ぜに並列している

うまい寿司を食べたときのように幸せだった
友達と喫茶店に入る
さて
コーヒーの飲み方に
レジェを応用してみよう


自由詩 美術館 Copyright 葉leaf 2009-07-29 15:30:42
notebook Home 戻る