線上のひと
恋月 ぴの
なにやら窓の外がやかましくなった
「今こそ」とか
「ともに」とか誰もが叫んでいるような
ここにしゃがみ込んで久しいし
一見自由そうで実は窮屈な姿勢にも慣れっこ
目を瞑っていれば何が起こっていても知らんぷりできて便利だよ
わたしの前にお婆ちゃんが立っているとかじゃなくて
一夜の嵐なんてそんなものだと思う
吹き荒れる景色のなかで敢えて目を見開き続ける意味なんてないと思うし
海の向こうでは「チェンジ」とか叫んでいたらしけど
なにかしら「チェンジ」できたのかな
変わること自体よりも変わろうとする気持が大切なんだと言われてもね
寝苦しい夜はマジ寝苦しいだけなのだから
ぷるるんカスタードプリンみたいな満月を見上げては
生クリームでもそえてみたいし
別れたばかりの彼氏にメールしたくなった
それでも絵文字だけは使って欲しくない気がして
「梅雨ってまだ明けていないんですよね」とささやいてみる