ネバーランドの溝にて、
かなた蒼空


この頃のぼくは、
紅茶をストレートでは飲めないけれど、ココアは何だか甘すぎて。

真夜中のトイレットは怖いけれど、昼間の父親は何だか嫌い。


灰色のどぶ鼠。
白じゃないけど、黒じゃない。なのにどうして、どぶ鼠。黒より汚く見えるのか。

たぶんぼくも、どぶ鼠。
子供じゃないけど、大人じゃない。だからぼくは、どぶ鼠。
何よりも中途半端。


僕は空を泳ぐ蛍の、疲れの無い光が見てみたい。
だってぼくらが見るのは、長い旅を乗り越えた優しい仄かな光たち。
ぼくは右手が届くぐらいの距離で、あの蛍を見たい。見たい。


白を混ぜた、ミルクティー。やっぱりぼくは、どぶ鼠。
自動販売機が売るペットボトルのミルクティー。甘くてぼくには飲めないけれど、コーヒーは匂いだけで美味しい。

ぼくは、どぶ鼠。
子供は嫌だけど、大人にもなりたくない。ネバーランド。

ぼくは、どぶ鼠。
夕暮れにネバーランドの溝を、いつかぼくは走りたい。走りたい。


自由詩 ネバーランドの溝にて、 Copyright かなた蒼空 2009-07-27 10:15:06
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