『ズ骸骨 躍ル 戯ケ』
Leaf

何処から枯れて往くのか
それは末端と相場は決まつているのか

箍が外れたような浮揚感
霊長類かどうかを計るのか

俺を司る心体の両軸
その片一方のちぇえんが外れた

23個の頭蓋骨の一片一片が軋んだ
擦り寄つては犇めきあつた


××××××××××××××××××××××××××××


  「おめえの矢状縫合はヘイキがあ?」

(何やら聞き慣れない外来語で話し掛けられた錯聴)

(外来語とは図太い脳幹を擽るような言色)

  「ほう、辣腕奮うてやる、と白衣が聴診器を手先でくるりと回し奥眼で笑ろうたぞ」

  「なにか噛み合わぬ」

  「視神経の息継ぎが上手くいかぬぞ」

  「いやいや、噛み合わんはおめえの上顎でぁ」

  「ん?下顎でぇええよ」

的外れな聴診器に前頭部が陥没しかかつたではないか
なんてこつた
然もあれ、涙も枯れて落ちて来ぬなんぞ語るに及ばずとは薄情な


     “ぐいぐい、ぐりぐり”


歯を食い縛りや、と囁いた怠惰な廃液は脊柱管から溢れ出た

  「ちばりや、おお、まちごうた、けつぱれよ、よしよし」

  「北から南までおめえの応援団だぞお」

  「おめえの視床下部は生きとるがあ?」

  「それとも翻弄されてえんがあ?」


××××××××××××××××××××××××××××


日本中で嬉しそうに誉めそやす
途端におらが骸骨踊り出す
先細る火群を囲い
戯言に踊る輩
お前は然らぬてい
慫慂し搾取せしむる


かくも
じぇにじぇに銭銭踊る阿呆に
ちゆうちゆう治癒治癒躍る阿呆だ


儚くも其れが恒常性だ
俺の尊厳はもう既に其処にはない


それでも俺のズ骸骨二十三個分の継ぎ目は
竹籤のようなもので繋いである
足りない中身を洩らさぬため
豆腐のような中身を護るため


自由詩 『ズ骸骨 躍ル 戯ケ』 Copyright Leaf 2009-07-26 20:33:17
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