黄金
熊野とろろ
草の葉がこすれ 香る
小さなからだを 大きく横たえ
突き抜ける空を眺めた
輝く太陽が おれの目を細くし
やがて 真っ白な世界を作り上げる
すべてがひとつにでもなったかのような
幻の時間であり 空間だった
夕焼けはあらゆるものを飲み込む
おれはあの広大さを失った
大切だった空間が 時間が
あの夕焼けに飲み込まれたなら
この胸に悔しさは積もらない
歩き続けて この街まで来たが
一度だって 夕焼けを見たことはない
おれは迷い子か
道の端で小さく 冷たくなっていく
使い回しの夜が明け 細い息をする