アイニー
あすくれかおす
朝という朝の綴じ目があいて
空が少しずつ明度をあげていく
鳥と電線と鳥と蟻たちと
まだ鳴き声はない蝉としかいない
ウォー
アイニー
声には振り向くこともなく開き続ける
かつて打ち上げられた衛星
もうずっと前から空にいる衛星達が
午前5時この5時台の景色をながめて
黙り込んでる
見たいものが見たいからという意志が
芽生えはじめている
誰も気づかないところで
始まっていくものに向かって息吹く
ウォー
アイニー
*
何かを失って
青を手に入れることを
錆びるというんだってね
自分の色をたしかめない
明度の上がり切った空を
手前の都合で落とせない
地下鉄にタッチパネルにブザー
びっしょりと鳴き声が降り
昼間反射熱ビル群と雑踏
変えるためでなく叫ぶ人たち
ウォー
ウォー
叫んでいる
人を愛したことがあるのだと
優しい声で