48号鉄塔 
馬野ミキ

鉄塔の
鉄塔の遥か
はるか
遥かじゃないすぐ上だよ
あれはヘリコプター


『本当に手に入らないから!』
「本当だよ」
『入らないから!』


手に、
すべて以外のどんな点になったって、お前のなんかすごく小さいから消えちまうよ

遥か、
地平じゃなくて、
どっちかってーと重力の地の底
日雇いだよ
日常の。
日雇いでもつとまりゃしなかった?


ゆらゆらしてるのは未確認飛行物体じゃない
あれはヘリコプター
月曜日に罪悪感抱きながらフロムA買うふりするなよ
すっとぼけやがって、

風に吹かれてうなる電線のクロス
藍染め世界を油絵の具で描いたような雲がものすごい速さで流れ、

ウォーニング東京電力 100万ボルト以上

『星取り行くぞ』

オレについて来い
アンナミラーズがある。天空に

天辺でくだらない話しをしよう
オナニーとかしりとりとか俺たちが一番得意とする話し、翼
鳥、鳥、翼
青い鳥、白い鳥、赤い鳥、黒い鳥、みえない鳥
みえない鳥、みえない鳥、みえない鳥-みえない鳥になれ いくぞウォーニング。東京電力。200万ボルト。翼、みえない鳥の力
もうここからじゃ東京以外だってみえる 彩の国も、
そう ベイエリア、東京湾に沈む、沈む、沈む一千年前の夕日
笑うなよアンナミラーズとかじゃない、せかいなんだ。



『本当に手に入らないから!』
「本当だよ」
『入らないから!』



黒い鳥、黒い鳥、白い鳥、黒い鳥 みえない鳥、みえない鳥、みえない鳥、みえない鳥。
あっちの鉄塔とこっちの鉄塔でキャッチボールしようぜ
いきなり大雨が降ってきても雷がなっても、あれは自分だから恐れてはいけない
きっとオレは無言で縦に落ちるカーブをなげるから
もし暗くてわかんなくなっちゃった時は、夏の浜辺に拾いにいったらいい
一年後には、転がっている。

君がボールを拾ってくるのを
オレはずっと  ここで、 待っているから


48号鉄塔の、うえで。




自由詩 48号鉄塔  Copyright 馬野ミキ 2004-09-06 21:51:17
notebook Home 戻る  過去 未来