狂気
草野大悟
血が皆既日食のようにやさしく恥じらう今日
思いっきり、おれら
狂ってみようか
そう言えば、狂児という名の詩人がいたよナ
それは、ほとんど、だれにも相手にされない狂気ではあったケレド
奴は、確実に、そう確実という危うさを
ニシキノミハタみたくかざし、狂気してたよ
どこに行こうかと考えた
どこを走ろうかとも考えた
答なんか求めないままに
狂気してた
狂気は
狂気を連鎖し、犯し
ぽろぽろと狂気を産み落とす
魚みたいだね
魚みたい
な、夜が
これからも
イルカみたく
あればいいのに
狂気を眺めてて
そう思う
強く強くそう思う