死体の独り言
志賀羽音

 白くもないぼくの首を 黒くもない少年の手で絞められた音は 霧のように散布した

 青くもないぼくの眼を 赤くもない少女の靴で踏みつけられた味は 露のように甘かった





(メーデー、
 メーデー。)

 聞こえない





 黒くもないぼくの足を 白くもない少年の唇から舌で撫でられた曲は 星が見えない世界のように心地良かった

 赤くもないぼくの腹を 青くもない少女の傘で刺された触覚は 暗い森の木漏れ日ように欠けていた





(…………、
 …………。)

 聞こえない


自由詩 死体の独り言 Copyright 志賀羽音 2009-07-22 18:36:19
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