ルンペン
熊野とろろ
対象を持たない殺意が
やるせないまま数日を
行き来している
ぼくが見てきた他人の堕落が
両手では抱えきれない空間を
やはり右往左往している
高校生の衣を着たぼくだったころ
ぼくは真実のぼくではないのだと
虚構の毒を飲んでいたに違いない
そしてやはりぼくの吐き出す
すべての言葉に薄汚さや
致死量にはまずいたらない
毒のようなものがあったはずだ
これは他人から見てもぼくが見ても
どうってことのない1日のドラマだ
誰かが諦め
ぼくは表情に相反して腐臭を放つ
そんな1日を繰り返していても
到底永遠には及ばないのだ
対象のない殺意が
外界との交わりを昨日以上に断絶し始め
ぼくは身体性の暴力すら憧れはじめるだろう
辞書で調べた「ルンペン」の意味
それこそまさにぼくだと認めるほかない
一挙手一投足が脆く
どう足掻いても逃げ切ることは出来ない
ぼくの永遠は
そういった狂乱の精神のふりこの中に存在する