すでにいまここが
くろね

薄く醒めた夜
いつも話しかけては
ほどけていくような

曖昧な痛みは
そっと舌を噛んで
気付かない振りをする

斜面は転がるために
あるのかもしれないね、と
君は云った

すでにいまここが
君と僕がじゃれあっている波打ち際
黒い砂を分け合って
壊れた音を奏でた風


遠く沈む月
微かに滲んでは
見えなくなるような

丁寧な裏切り
ずっと息を吸って
生きている振りをする

時間は苦しむために
あるのかもしれないね、と
僕は思う

すでにいまここが
君と僕がじゃれあっている波打ち際
君というのは世界で
底に溜まるは寂れた雨


自由詩 すでにいまここが Copyright くろね 2009-07-21 08:22:09
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