HOPE
ホロウ・シカエルボク




ふと
あなたは
それが罪であることを知るでしょう
深い罪の上に、深い深い罪の上に
自らの人生があることを知るでしょう
生きることの出来なかった
様々な生の死体の上に
自らの生が立っていることを知るでしょう
あなたのために死んだ生
あなたが自ら手を下した生
様々な生の死体の成り立ちをいつかあなたは知るでしょう
惰眠の中で生まれる夢がいつも
冷ややかな目であなたを見つめていることを知るでしょう
欲望の果ての絶望では
何も学ぶことなど出来ないことを知るでしょう
私のためでは嘘ですが
誰かのためでもまた嘘です
それだけのための真実など何の意味も持たないことを
あなたは知るでしょう
綺麗なだけのものは所詮
飾りつけになるぐらいのことしか出来ません
ただ穢れているだけのものは
結局のところ忌嫌われて終わるだけです
理想を持てば持つほど建前の数が増えることをあなたは知るでしょう
目標に近づきたいがあまり
虚勢を張り過ぎる自分を知るでしょう
確信だけを求めることに躍起になって
たくさんのものを見落としてきたことを知るでしょう
花は咲こうとして生まれてくるのではなくて
生きようとして生まれてくるのだということを知るでしょう
殻を破り土を持ちあげるのが産声ではなくて
すでに自立であるということを感じるでしょう
そして自分がどれほどの間違いを犯してきたのかを知り
その穴を埋めようと躍起になり過ぎるでしょう
躍起になり過ぎるあまり
たくさんのものを見落としてしまうでしょう
あなたは背中に続いていたはずの道が
最早ないのだということを知り途方に暮れるでしょう
戻ることをどこかで考えていたあなたは
本当に戻れないのだということを悟った時にしばらく身動きが取れなくなるでしょう
やがて先に進むことを視野に入れたとき
本当に進めるのかと思案する自分を知るでしょう
進み始めたとき
道は
それまで歩いてきた道と少しも違いはないように思えるでしょう
そこであなたは初めてとも言えるほどの大きな迷いを抱えて
病を呼ぶほどの苦悩を作り上げてしまうでしょう
瘦せ衰え
食べるものが限られ始めたとき
これではいけないとそう感じるでしょう
そのとき食したものが
あなたの身体を強くするでしょう
あなたの血肉は蘇り
生気は体内をほとばしるでしょう
あなたは
生命を調律する術を少しずつ手に入れるでしょう
あなたが読むとき
あなたが歌うとき
あなたが綴るとき
あなたが踊るとき
あなたが
それらの中で生まれてきたものにひとつずつ名前をつけてゆくとき
あなたは純粋な意味での
成果というものを知るでしょう
あなたはそれを誇りに思い
時折は自惚れてしまうこともあるでしょう
その時あなたは綺麗で
また同時に穢れてもいるでしょう
愛されたり
唾を吐かれたりするでしょう
やがて
身体が尽きて灰になるときに
あなたはそれまで覚えてきたことを全て忘れるでしょう
少しずつからになっていって
そうして
もう一度学び直すでしょう
あなたの学びは
おしまいを


良しとはしないでしょう









自由詩 HOPE Copyright ホロウ・シカエルボク 2009-07-20 15:29:42
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