西側の窓から流れ込む水の風が
産毛を心地良く逆撫でしていく
ソファに横たわって目を閉じると
耳元で涼やかに風の水が囁く

Come Together から
Let It Be へ

iPod をシャッフルして垂れ流すと
麻痺しかけた右耳に声の水が注がれて
胸のわだかまりに頼りない水路を作る
たぶん平気　水の声はまだ聞こえている

Across the Universe から
Something へ

ドーナツを差し入れてやりたかったけど
君の本当の住所が分からないんだ
だから僕が全部食べちゃったよ
ジョンが笑いながら頬をつつく

While My Guitar Gently Weeps から
Octopus's Garden へ

忘れてしまいたいものの中にしか
出口がないこともありますよね
あなたはもう気づいているはずです
ジョージが腹の上で坐禅を組む

Yellow Submarine から
Eleanor Rigby へ

新しいドラクエは買ったかな？
１Ｑ８４って本当に面白いの？
おい もったいぶってないで教えろよ
リンゴがしつこく足裏をくすぐる

The Long and Winding Road から
Strawberry Fields Forever へ

あいにく僕はとても忙しいから
君の相手をしているヒマはないけれど
いつも君には感謝しているよ
ポールは足早に立ち去っていった

Helter Skelter から
Lucy in the Sky with Diamonds へ

西側の窓からは相変わらず
水の風が流れ込んでくる
おそらくもうすぐ雨が降ってくるだろう
天気予報は当たらないから可愛い

シャッフルした iPod は相変わらず
声の水を ＰＬＡＹ し続けている
傷だらけで ＰＡＵＳＥ にしがみついている
自分がそろそろ馬鹿らしくなってきたから

これからカップ麺でも食おうと思う