修羅道
zihan

数寄な者から順不同に死ぬることに涙をする

 ●

真率な文字列の内服をした
染み渡るものではなく
其のままの死には
至らないものであった

 ●

難儀が過ぎ 自己は死んだ
死んでも尚も自他を殺したいようだ
此れを呪詛を絡め乍に考え尽くしたい

 ●

殺気にはどこまで覚束ないものだろうか
殺される都度に殺気に鋭敏になるものであり
殺されるほどに身勝手に殺す者を殺したくなるものだ
心とてなく機械的に殺しを行ずる者があった

 ――それが、私だ。

 ●

人は二極を特有する
此の者が予言を拝借し人を惑わす場合
そして自己が特有をする男女の二極の性の操作に覚束ない場合
性が特有されない無性の修羅は
一顧だにせず流動をする
其の性を
討つであろう

 ●

実際に其れを試みると先ずは己自身が究極に殺害をされ
自己の特有する様々の二極が自己から剥落をした以降は
何を殺すのも容易だった

 ――それが、神であっても。

 ●

何故殺すのかと言えば万象との間合いである
殺し殺されるほどにそれは短縮されるものだ

 ――万象の閲覧者とは、殺戮者を意味していた。

 ●

人体は宇宙に対応すると同時に地理に対応をする
詫びのない殺意は日本人の骨を慮ってのものである

 ●

悪意の無い殺意ほど究極のものはない
それは愛とも呼称をされるべき
ものである

 ●

殺しは死に直結し饒舌な詩など絶無である
文字列など塵芥と化せしめ
その灰を内服し

殺しを
行ずる

のみで
ある


自由詩 修羅道 Copyright zihan 2009-07-18 21:28:47
notebook Home