夏の夜の夕暮れ
ヨルノテガム








 冷たい虫が脳の中を泳いでいる

 足を大蛇に巻きつかれる
 締め上げられる
 丸飲みされていく

 柳が風にゆら揺らいで
 人影が立つ

 海へ入ると息つぎしない亡霊たちの
 必死のクロールが手を伸ばし
 爪を伸ばして。

 逆走してくる対向車に
 骸骨は座っている

 太陽が二つある
 無人の街に影は焼かれる

 思わず目玉をゴロリとこぼす
 自分の目と自分の目が合う

 階段を上がれば
 曲げる膝から
 一段一段恨みの声が聞こえしゃべり出す

 片方の耳がもう腐り落ちてる

 振り返ると振り返った後ろ姿を見る見る見る

 鳥たちの墜落風景に囲まれる
 空が地に落つ

 扇風機が空を飛んでいる

 ああ
 扇風機が
 空を飛んでいく

 声声がが割割れれるるよよぅぅ












自由詩 夏の夜の夕暮れ Copyright ヨルノテガム 2009-07-18 04:30:08
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