潮のにおい
はちはちよん

ふれたいなら
うんと手を伸ばさなくちゃ

あいつは透明な空に
すいこまれそう

蝉はおもいおもいに
自己主張をして
太陽はこれでもかと
あたしたちを焼いて
アスファルトを
ゆらめかせる

ながい坂道で
自転車を押す
あいつの制服の背中は
いろんなこと、しってる

濁りも
嘘も
あたしがひとりで
泣いたことも

やさしくまっすぐに
受け入れること
待つこと
正しく腹をたてること
ふざけたふりで
すべてを許す術

汗が目にしみるけれど
そのまんま
立ちこぎで追い越した

うしろで
まっくろなあいつは
うおっ、と言って笑った

潮のにおい


自由詩 潮のにおい Copyright はちはちよん 2009-07-17 20:16:24
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