自殺願望
AKiHiCo

転がり滑り落ちる悲しみ空蝉
耳鳴りが音階と為って脳を支配する

狭い部屋に鍵を掛けて
目蓋を閉ざす深夜に
飛び交う金色の鱗粉
睫に落ちて悪夢を垂らす
苦い蜜を掬って

嗚呼、此処は夢か現か
境界線は最早消え去って
臨界で彷徨う蝶
糸を垂らして
何所でも良いのが答え

涙さえ枯れた眸に移る光景は惨劇
心に剣を刺されゆっくり腐敗してゆく

嗚呼、一瞬で見える三途が
冷水が傷口に沁みて込み上げる
境界で舞い踊る螢
残してテールライト
必要とされていなかった

――それが答えならば
何の為に生を受けたのだろう

終わらない旋律で
捲し上げて


自由詩 自殺願望 Copyright AKiHiCo 2009-07-17 05:21:01
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