プロ
木屋 亞万
男は地を這うように何かを探していた。通りすがりの女は何を探しているのか男に尋ねた。
男は「イマを探しているのだ」と言った。
「それはコンタクトレンズのようなものなんですか」と女は問うた。
「似たようなもんです。それがないと過去と未来がぼんやりする」
そう言いながら男は立ち上がった。
その直後、男は玄人じみた仕草で女を抱きしめた。
男は「あなたが私の今だ」と玄人じみた口調で、女の耳元に囁きかけた。
女はただ素人のポーズで茫然としていた。
男は女に数多くの約束をした。そして、女に婚を求めた。