地球の子
瑠王
こっそりベッドを脱け出して
(嗄れたシャツのまま)
音をたてないように
(ドアノブを引いて)
土手へと向かう
(ホテルから見えた)
暫く歩いた
(犬が見てる)
座る
(壮大な僕の椅子)
草の上に横たわって
(今日は死んだふりをしていよう)
蟻たちはお構いなし
(からだの上に迷い込んでくる)
彼らにとっても僕は 自然の一部なんだろう
(僕らが彼らをそう思うように)
金持ちがワインの涙を流す
(そんなことはない)
聖者の涙だけが美しい
(わけでもない)
涙はみな 塩の味だ
何処かに靴を忘れてきたようだ
(無愛想な 高価な靴をじゃない)
世の中をうまく渡る 羽の生えたやつ
みんな胸に蝶結びをしてる
(ほどいてみれば どれも同じ一本の紐)
心臓のあたりできれいな蝶結びをしてる
(各々のプライドの 端と端をつまんで)
少年野球のボールは いっこうに飛んでこない
(こっちに飛んできたら 投げ返してやろうと思っていたけど)
どうやら今日は そういう日ではないらしい
嗚呼
(やっぱり、僕は地球の子だ)
僕は笑ってる?
(悲しければ母なる海が宿る)
アスファルトで削れた足
(裸の足は土を求めて此処へやって来た)
それとも泣いているのかな
(不器用な蝶々が 胸にぶら下がってしなだれてる)
いつだって
(必ずしも全てが思い通りになんてならない)
やっぱり、僕は地球の子だ
(それにしても一日って こんなに長かったんだ)